睡眠物質が眠りを誘う
私たちは通常、だいたい決まった時間に眠気を覚え、決まった時間に目覚めるサイクルを繰り返しています。眠りたくないと思ってもあまり無理はできません。人はいったいどんなシステムで睡眠を取っているのでしょうか。
眠るタイミングを司っているのは、体内の「睡眠物質」と呼ばれるものです。睡眠物質にはいろいろなものがありますが、代表的なものにメラトニン、ウリジン、酸化型グルタチオンなどがあり、覚醒しているあいだに徐々に分泌されてたまっていきます。睡眠物質が一定量を満たすと、神経細胞のネットワークに働きかけ、眠気が訪れます。そして十分な睡眠を取ると、睡眠物質はきれいになくなります。こうして、自然な目覚めが訪れるというわけです。
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つまり眠りたいのに眠れないときは、睡眠物質の分泌量がまだ十分ではないということが考えられるわけです。
体内時計による指令
もうひとつ、眠るための重要なシステムとして「体内時計」が挙げられます。夜勤の仕事などではない限り、私たちは通常、夜に眠り朝に目覚めます。このリズムを刻むシステムが、脳の視床下部の視交叉上核という場所にあることが分かっています。
睡眠物質のメラトニンは脳の松果体から分泌されていますが、この分泌指令を発しているのが体内時計です。体内時計から命令を受けた松果体は、眠る時間が近づくとメラトニンの分泌を始め、深夜に最大量に達します。また体内時計は、体温や血圧などの自律神経系や、内分泌ホルモン系、免疫、代謝系なども司っています。私たちは眠りが深くなると脳や体の内部の体温が下がってクールダウンの状態に入り、目覚めが近づくと血圧が上がっていきますが、これも体内時計によるコントロールです。
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心筋梗塞や脳卒中の発作が早朝に多いのも、こうした体内時計の働きと関係しているといわれます。また、夜更かしをして朝寝坊を繰り返していると、体温が上下するリズムもずれていき、寝起きのときの体温が低いままになることがあります。
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体内時計の調整には、「光」が関与しています。体内時計の1周期は25時間といわれ、1日24時間とは1時間のズレがありますが、目の奥にある視交叉上核が、目から入ってくる強い朝日をキャッチすることで、このズレの調整を行っています。ただし視交叉上核は人工的な光の影響も受けるため、夜になっても煌々と明るい照明の下にいると、体内時計に狂いが生じて健全な睡眠が取れない体になっていきます。

